下塗り用塗料の種類と特徴
外壁塗装は3回塗りが基本とされており、1回目に行う塗装を「下塗り」と言います。
下塗りは塗装後に見えるものではありませんが、塗装の出来映えや耐久性に大きく関わる工程になるので重要性をきちんと理解しておくことが大切です。
このページでは、下塗りの役割と使用する塗料の種類について説明いたします。
下塗りの役割

下塗りの役割は主に2つあります。
また、塗装できる素材も異なり、1液型はサイディングやモルタル等、2液型は1液型が塗装できる素材に加えてALCや鉄部、金属等に使用することができます。
塗装面の劣化が激しい場合も2液型が適しており、塗装業者が使用しているのは2液型の塗料がほとんどです。
中塗り・上塗り塗料の密着性を高める
下塗りは、外壁材や屋根材などの下地と、中塗り・上塗り塗料の密着性を高める接着剤のような役割があります。
塗料の密着性を高めることで、塗膜の剥がれや膨れなどが発生しにくくなり、塗料の本来の性能や耐久性を発揮することが可能になります。
下地に中塗り・上塗り塗料が吸い込まれるのを防ぐ
劣化した外壁材や屋根材はひび割れや破損が発生しているため、下塗りをせずに中塗り・上塗りを塗装してしまうと、スポンジのように破損した部分から塗料を吸い込んでしまいます。
そして、塗料が吸い込まれると一定の厚みがある塗膜が作れずに、塗膜が直ぐに剥がれたり、耐久性が低下するなどの施工不良に繋がります。
下塗りは、下地に中塗り・上塗り塗料が吸い込まれるのを防いで、塗装が出来るような状態に整える役割もあります。
下塗り用塗料の主な種類
下塗り用塗料は、主に6種類あります。
シーラー
シーラーとは、塗料の吸い込みを防いで密着性を高める効果がある下塗り塗料です。
種類は水性タイプと油性タイプの2種類あり、水性タイプは劣化が少ない場合や塗料の臭いを抑えたい時に向いています。また、油性タイプは劣化が激しい下地や厳しい環境に適しています。
プライマー
プライマーは基本的にシーラー同じ役割があり、シーラーとの明確な違いはありません。
様々な材質に対応しており、鉄、ステンレス、アルミなどの金属部分には錆止め効果がある下塗りが使われる事が一般的です。
フィラー
フィラーは細かいひび割れや凹凸を埋めて表面を滑らかにする役割があり、モルタルやALCなどに使用されます。
微弾性フィラー
微弾性フィラーは、シーラーとフィラーの役割を併せ持つ下塗り塗料で、塗料の密着性を高めつつ、細かいひび割れや凹凸を埋めることができます。
また、塗膜が柔らかく伸びる性質によって建物の動きに追従して伸縮するため、ひび割れが起こりにくい特徴もあります。
バインダー
バインダーもシーラーと同じ役割を持っていますが、バインダーは劣化が少なく、塗料の吸い込みも少ない場合に使用されます。
サーフェイサー
サーフェイサーはシーラーやプライマーの後に使用するもので、塗料の吸い込みを防止して、さらに密着性を高める効果があります。
下塗り塗料の後に使用するため、厳密には中塗り塗料となり、劣化が激しい場合や古い建物に用いられます。
まとめ
下塗りは、中塗り・上塗り塗料の密着性を高め、塗料が過剰に吸い込まれるのを防ぐ役割があります。
下塗りを行わないと塗膜が直ぐに剥がれたり、耐久性が低下してしまうため、下地や劣化状態にあわせて下塗り塗料を選択して塗装する事が重要です。
業者に見積もり依頼をする際は、中塗り・上塗りの部分だけではなく、下塗り塗料の種類も確認しておくと良いでしょう。
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