外壁・屋根塗装の塗料グレード別、耐用年数と単価
外壁・屋根塗装で使われる塗料には、様々な種類があり、塗料のグレードごとに耐久性や価格に大きな違いがあります。そのため、塗料選びの際には、それぞれの特徴について理解しておくことが重要なポイントとなります。
このページでは、外壁・屋根塗装で使用される塗料のグレードやそれぞれの特徴についてご紹介いたします。
外壁・屋根塗装で使う塗料のグレードとは

塗料のグレードとは
外壁・屋根塗装で使用される塗料は、大きく分けると樹脂、顔料、添加剤の3つの要素で成り立っています。それぞれの役割は以下の通りです。
樹脂:塗料の膜を作る役割
顔料:色を付ける役割
添加物:機能性を付加する役割
その中でも、塗料の耐久性に大きな影響を与えるのが「樹脂」の部分です。配合される樹脂の種類によって、塗料のグレードや耐用年数は異なります。一般的には、「アクリル樹脂<ウレタン樹脂<シリコン樹脂<フッ素樹脂」の順に長持ちすると言われています。
耐用年数とは
耐用年数とは、塗料がどれくらいの期間外壁を保護できるのか表したもので、各塗料メーカーによって「促進耐候性試験」と呼ばれる試験が行われ、その結果をもとに年数が算出されます。
この試験はあくまでも屋内に設置された専用の装置内で光の照射、水スプレーによる降水、温湿度の制御などを行い、屋外の条件を人工的に再現して行う試験のため、あくまでもテスト上の耐用年数となってしまいます。
そのため、実際に塗装をしてから受ける太陽光や雨風や塩害、凍結などの影響によって、耐用年数よりも早く劣化してしまう場合があります。
塗料のグレード別、耐用年数と単価
アクリル
耐用年数:3~5年 単価:1,400~1,600円
アクリル樹脂塗料は、アクリル樹脂を主成分とした塗料で、外壁塗装で使われる塗料の中では一番グレードの低い塗料です。安価な塗料ですが耐久性が低いため、現在外壁の塗替えで使用されることはほとんどありません。
また、塗料メーカーによっては、カタログに「アクリルシリコン樹脂」と記載されていることがありますが、こちらのグレードは「シリコン樹脂塗料」に分類されるので注意が必要です。
ウレタン
耐用年数:5~8年 単価:1,700~2,200円
ウレタン樹脂塗料は、合成樹脂のポリウレタンを主成分とした塗料のことです。一昔前までは主流の塗料でしたが、こちらも耐用年数が5~8年と短く、紫外線によって変色しやすいため、現在ではあまり使用されていません。
ウレタン樹脂塗料には、ポリオールを主成分としたポリウレタン樹脂塗料と、アクリルポリオールを主成分としたアクリルウレタン樹脂塗料があります。アクリルという名称が含まれていますが、こちらも下位グレードのアクリル樹脂塗料ではなく「ウレタン樹脂塗料」に分類されます。
また、外壁塗装で使用されるウレタン樹脂塗料は、防水工事で行われるウレタン防水とは別物なので注意が必要です。
シリコン
耐用年数:8~10年 単価:2,300~3,000円
シリコン樹脂塗料とは、ケイ素(Si)を核としたシロキサン結合を持つシリコン樹脂を主成分とした塗料のことです。価格と性能のバランスの良さから人気が高く、現在最も使用されている塗料です。
各メーカーから多くの製品が販売されているため、製品によってシリコン樹脂の含有量が多いものや少ないものなど様々な種類のシリコン樹脂塗料が存在します。そのため、製品ごとに品質や性能には大きな違いがあるので注意が必要です。
ラジカル制御型
耐用年数:12~15年 単価:2,500~3,000円
ラジカル制御型塗料とは、塗膜の劣化原因である「ラジカル」の発生を抑制する酸化チタンと光安定剤(HALS)が配合された塗料のことです。
ラジカルとは、顔料(塗料の色などの元になっている成分)に含まれている「酸化チタン」が強烈な紫外線や雨風などに当たり光触媒反応によって発生してしまう物質のことです。このラジカルは、塗料の耐久性を保つ「樹脂」を分解してしまう性質があり、塗膜劣化の原因物質とされています。
ラジカル制御型塗料では、ラジカルが発生した際に塗料が分解されないよう、酸化チタンのバリアー層に発生したラジカルを閉じ込めることで、ラジカルの発生を抑制します。
また、光安定剤が酸化チタンでは閉じ込めきれなかったラジカルを捕まえることでラジカルの発生を制御し、塗膜の劣化を防ぐことができます。
なお、ラジカル制御型塗料は、ラジカル制御酸化チタンと光安定剤が含まれる塗料のことを指すため、主成分となる樹脂によって塗料の耐久性は異なります。
例えば、シリコン樹脂を主成分とした場合には「ラジカル制御型シリコン塗料」、フッ素樹脂の場合には「ラジカル制御型フッ素塗料」となるので注意が必要です。
ルミステージGTの場合、塗料(白顔料)に含まれる「酸化チタン」をコーティングすることで、ラジカルによる塗膜部劣化の低減に成功しました。例えば、沿岸部や離島などといった厳しい環境下でも建物をしっかりと保護することができます。
フッ素
耐用年数:10~20年 単価:3,800~4,800円
フッ素樹脂塗料とは、ホタル石を原料としたフッ素樹脂を主成分とした塗料のことです。フッ素樹脂塗料は、耐久性が非常に高いため、合成樹脂を主成分とした塗料の中では、最もグレードが高く耐用年数が長いという特徴があります。
フッ素樹脂には、フッ素モノマーだけでは塗料用の樹脂としては使用できないため、フッ素とフッ素をつなげる物質(ビニルエーテル、ビニルエステル)が必要となります。
さらには、優れたフッ素を使ってもフッ素をつなげる物質によっても、性能が大きく左右されます。中でも3F系(ルミフロン)は1982年に世界で初めて「交互共重合体」を主鎖に持つ樹脂を開発しました。
分かりやすく言うと、大人と子供が交互に手をつないでいるイメージです。子供が大人をつなげる役割をし、大人が子供としっかり手をつないでいるので、4F系フッ素樹脂やその他の3F系フッ素樹脂よりも切れにくい構造になっています。
そのため、ルミステージは非常に耐久性に優れ、ルミステージは15~20年以上の長期間にわたって美しい光沢と十分な性能を保ちます。
光触媒
耐用年数:7~15年 単価:4,200~5,000円
光触媒塗料とは、シリコン樹脂やフッ素樹脂に酸化チタンを配合した塗料のことです。酸化チタンは、紫外線があたることによって生成された活性酸素が、大気汚染物質(窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOx)を強力な酸化力によって分解し、水と炭酸ガスに変換することによって、塗膜表面に汚れが蓄積されにくくなります。
さらに、酸化チタンが持つ「超親水性」という特性によって、塗膜表面が水とよくなじみ、付着した汚れの隙間に雨水が入り込むことで、汚れを洗い流す効果があります。この2つの効果を合わせてセルフクリーニング機能と呼ばれています。
ただし、日光が当たらない部分や建物全体の日当たりが悪い部分では、紫外線があたりにくくなるため、セルフクリーニング効果は出にくくなります。
また、サビや黄砂などの無機物は活性酸素によって分解することはできないなどのデメリットがあり、不具合も多く発生したため、残念ながら大手メーカーの撤退する事例もありました。
無機系
耐用年数:10~25年 単価:4,500~5,500円
無機系塗料とは、酸素とケイ素(Si)の化合物である超微粒子のシリカを主成分とした塗料のことです。
従来からある合成樹脂を主成分とした有機塗料に比べ、カビや藻の栄養分となる有機物があまり含まれていないのでカビや藻が発生しにくく、さらに不燃性も高いという特徴があります。また、一般的に紫外線や酸性雨などに曝されても劣化が起こりにくく、耐用年数が非常に長い塗料とも言われていますが、これに関しては実証されているわけではありません。
なお、無機系塗料には、塗料基準が無い為、各メーカー独自で試験データに基づき性能表示しています。名称も「無機塗料」「無機系塗料」「無機ハイブリッド塗料」「無機有機ハイブリッド」など様々です。
業者の中には施工店が塗料製造会社より塗料購入し、自社ブランドとして販売している所があります。そのため、性能表示の信頼性に欠け、保証年数など独自で定めており、何の担保も無い場合があるので注意が必要です。
こんな塗料を勧める業者には注意!
「耐用年数が30年以上のオリジナル塗料」や「自社開発の塗料だから費用を安くできる」と勧めてくる業者には注意が必要です。
現在最もグレードの高い無機系塗料でも耐用年数は25年程と言われています。そもそも大手メーカーでも30年以上も耐久性のある塗料は開発されていません。
業者にそのようなことを言われた場合、まずは会社の設立年月日を聞いてみましょう。設立年月日が浅い場合は、明らかに不自然だと判断することができます。
また、見積もりに記載されている塗料の単価が安すぎたり、高すぎる場合には注意が必要です。そのような場合、塗料のグレードを下げていたり、相場よりも費用が高く提示されている恐れがあります。
見積もりの記載の仕方によっては、不自然な箇所を見落としてしまう可能性もあるので、見積もりの内容はしっかりと確認するようにしましょう。
まとめ
塗料のグレードは大きく分けると7つの種類に分類され、その中でもフッ素樹脂であるルミステージは、AGC(株)が開発した最高品質の素材を、AGCコーテック(株)の技術を集結して製造した最高品質の塗料です。
AGCコーテック(株)のフッ素樹脂塗料は、35年以上の実績があり、発売当初に塗装をして未だに塗り替えていない建物も多数あります。性能は試験データだけではなく、実際の建物で証明されています。
さらに、AGCでは「ルミステージ」の取り扱いに認定制度を設け、厳しい条件を満たした施工店だけを「メイクupショップ」として認定し、塗り替えの提案から施工までを任せています。まずは塗装技術はもちろん、マナーなどあらゆる面で厳しい認定制度をクリアした認定施工店にご相談ください。
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