アクリル樹脂塗料の特徴
アクリル樹脂塗料は、アクリル樹脂を主成分とした塗料で、外壁塗装で使われる塗料の中では一番グレードの低い塗料です。
安価な塗料ですが耐久性が低いため、現在外壁の塗替えで使用されることはほとんどありません。
このページでは、アクリル樹脂塗料の特徴について詳しく説明いたします。
アクリル樹脂塗料はどんな塗料なのか?

アクリル樹脂塗料とは、アクリル樹脂を主成分とした塗料のことを指します。20年以上前には、グレードが最も低く安価な塗料のため、屋根や外壁塗装にもよく使用されていましたが、高性能な塗料が次々と開発されたことで、現在では外壁や屋根の塗替えで使用されることはほとんどありません。
住宅用のアクリル樹脂塗料には、大きく分けると「水性」と「油性」の2種類があり、さらに水性・油性塗料の中でも、塗料液をそのまま使用できる「1液型」と塗料液主剤に硬化剤を混ぜて使用する「2液型」の2つのタイプに分かれています。
アクリル樹脂塗料は、耐久性が低い塗料ですが、安価で伸縮性や透湿性に優れているため、使用用途や使用箇所によっては、現在でもアクリル樹脂塗料が使用されます。
アクリル樹脂塗料のメリット1:価格が安い
アクリル樹脂塗料の最大のメリットは価格の安さです。商業施設や工場、アパートやマンション、学校など長期の工事計画を立て、定期的にメンテナンスを行うような場合は、アクリル樹脂塗料が選ばれるケースが多いです。
また、短期間で家を売却することが決まっている場合には、アクリル樹脂塗料の価格の安さがメリットになることもあります。
アクリル樹脂塗料のメリット2:扱いやすい
アクリル樹脂塗料は、あらかじめ主剤に適量の硬化剤が混ぜられた1液型がほとんどなため、DIY初心者のような方でも扱いやすいというメリットがあります。
また、アクリル樹脂塗料は、発色が良くカラーバリエーションも豊富で、各メーカーから様々な種類の塗料が販売されています。
アクリル樹脂塗料のデメリット1:耐用年数が短い
アクリル樹脂塗料の耐用年数は、3~5年と他のグレードの塗料と比べ非常に短いというデメリットがあります。
アクリル樹脂塗料は、紫外線によって劣化因子であるラジカルが発生しやすく、塗膜の組織がラジカルによって破壊されることにより、劣化が早く進行してしまいます。
そのため、塗り替えをしても早期で変退色してしまう傾向があります。
アクリル樹脂塗料のデメリット2:ひび割れが発生しやすい
アクリル樹脂塗料は、塗膜に柔軟性を持たせるために可塑剤が添加されています。しかし、可塑剤は紫外線の影響によって3~5年程度で抜けてしまいます。
可塑剤が抜けると、塗膜が柔軟性を失い硬く固まってしまい、塗膜の表面にひび割れが発生してしまいます。
アクリル樹脂塗料のデメリット3:塗り替えのサイクルが短く手間がかかる
アクリル樹脂塗料は、他のグレードの塗料に比べ耐用年数が3~5年と短く、頻繁な塗り替えが必要となります。
価格が安いため1回の塗装費用を抑えることはできますが、現在主流である耐用年数8~10年程度のシリコン樹脂塗料と比較すると、塗り替えの頻度が約2倍も増えてしまいます。
そのため、アクリル樹脂塗料はコストパフォーマンスが非常に悪いというデメリットがあります。
アクリル樹脂塗料の施工単価(m2)はいくらくらいか?
アクリル樹脂塗料の施工単価は、1,400~1,600/㎡円程度です。
こんな方にオススメする塗料です
アクリル樹脂塗料は、耐久性は低いですが、乾燥時間が早く伸縮性や透湿性があるので、内装での塗装には現在でも使われています。
また、建物を5年程度で取り壊すことが決まっている場合や安価な塗料でこまめに塗り替えをしたいという場合にはオススメです。
アクリル樹脂塗料に関するよくある質問
1.他の塗料に比べ、ツヤがありはっきりとした色合いになると聞いたのですが、本当でしょうか?
アクリル樹脂塗料は、発色が良くカラーバリエーションも豊富な塗料です。ツヤに関しては、アクリル樹脂塗料の特性と言うわけではなく、どのグレードの塗料であっても、ツヤの有無やツヤの度合いを選ぶことができます。
また、アクリル樹脂塗料は劣化因子であるラジカルが発生しやすく、紫外線の影響によって3~5年程度で抜けてしまうため、早期にツヤが落ちてしまったり変退色してしまう可能性があります。
2.塗膜が固いのでヒビが入りやすいと聞いたのですが、本当でしょうか?
アクリル樹脂塗料に添加されている可塑剤が抜けると、塗膜が柔軟性を失い硬く固まるため、塗膜の表面にひび割れが発生しやすい傾向があります。
しかし、現在では伸縮性の高い弾性アクリル樹脂塗料も存在するので、アクリル樹脂塗料全てがひび割れしやすいというわけではありません。
3.浸透性が良すぎると聞いたのですが、本当でしょうか?
アクリル樹脂塗料は、浸透性が高い塗料です。そのため、湿度が上がりやすい室内などに使用することで、内部の湿気や熱を逃がす効果があり、内部の湿気や熱の遮断が原因で発生する、塗膜の膨れや剥離を防ぐことができます。
ただし、外部の湿気を室内に入れてしまう性質があるため、水辺など周囲の環境によっては注意が必要です。
4.他の塗料に比べ重ね塗りがしやすいと聞いたのですが、本当でしょうか?
アクリル樹脂塗料は、密着性が高く他の塗料に比べ扱いが簡単なため、重ね塗りしやすい塗料です。
まとめ
アクリル樹脂塗料は、外壁塗装で使われる塗料の中では最もグレードの低い塗料です。耐用年数が3~5年と短く、コストパフォーマンスが非常に悪いため現在外壁の塗替えで使用されることはほとんどありません。
長期的に考えると、シリコン樹脂塗料以上のグレードの塗料で施工した方が費用対効果が高いため、業者からアクリル樹脂塗料で塗り替えの提案があった場合には注意が必要です。
また、近年では従来のアクリル樹脂塗料に比べて耐久性が高いアクリル樹脂塗料も存在していますが、こちらもメリット・デメリットがあるため、アクリル樹脂塗料を検討する際には、他のグレードの塗料と比較をすることが大切です。
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