塗装で使う道具(刷毛、ローラー、スプレー)の種類と特徴
外壁塗装で塗料を塗るときに使う道具は数種類あり、塗装する場所や素材などによって使い分けられています。道具の選択は仕上りにも大きく影響するため、どのようなものがあるのかを知っておくことは大切です。
このページでは、塗料を塗る道具の種類とそれぞれの特徴、メリット・デメリットについて紹介いたします。
塗装を行う道具は3種類

塗装を行うときに使う道具は主に「刷毛」「ローラー」「スプレー」の3種類あります。
現在主流なのはローラーで、細かい部分やローラーでは塗りづらいところは刷毛、特殊な模様を付けたい場合はスプレーで吹き付け塗装するのが一般です。
刷毛

刷毛とは、木やプラスチックなどの柄に動物や化学繊維の毛を取り付けたものです。
毛の種類は塗料の特性に合わせて選び、溶剤系塗料には獣毛、水性塗料には化学繊維が用いられます。また、柄の形や幅が異なる種類が多くあるので、塗装する場所によって使い分けることが可能です。
昔ながらの手塗り工法と言われており、仕上りは職人の腕に左右されます。そのため、綺麗に仕上げるには熟練の技術が必要となります。
メリット
塗料の飛び散りがなく、複雑な形状や細部にも塗装できるのがメリットです。また、マスキングテープを使わなくても、真っ直ぐな直線を出すことができます。
デメリット
広い面を塗装するには時間がかかるため、その分工期が延びて費用が高くなります。さらに職人の技術が不足していると刷毛の跡が残ったり、塗料の付け方にムラが出て液垂れなどが発生してしまいます。
刷毛の種類と特徴
刷毛には主に以下の7種類あります。
■平刷毛
ベタ刷毛とも呼ばれ、広い面積を塗るときに使用します。
■寸筒刷毛
毛が多く厚みがある刷毛になります。平刷毛よりも塗料を大量に含むことができるので付け直しする回数が少なく、一度に多くの塗料を塗りたい場合や広い面積を塗るのに適しています。
■目地刷毛
平らで薄く、細い刷毛で目地や溝などを塗る際に使用します。
■隅切り刷毛
隅や端、狭い箇所などに使用される刷毛で、主に補修用に用いられます。
■ラスター
塗料を塗るだけではなく、塗装面の掃除をするときにも使われます。
■鉄骨刷毛
鉄骨、板金部分、ボトル周りなどを塗装するときに使用されます。
■水性刷毛
水性塗料を塗るための刷毛で、ナイロンなどの化学繊維で作られたものや獣毛と組み合わせて作られたものがあります。
ローラー

ローラーとは、芯になる筒に動物の毛や合成繊維を巻き付けたものです。刷毛と同様に手作業で塗っていく方法ですが、刷毛と比べて技術力を必要としないため、塗料を均一に塗っていくことができます。
メリット
塗料の飛び散りが少ないため、狭い場所や植木などが密集している所でも使用することが可能です。さらに、作業時間も短縮され、刷毛と比べて半分くらいの時間で済むメリットもあります。
また、質の良いローラーは塗料の含みが良く、気泡も出ずに綺麗に仕上げることができます。
デメリット
道具の質が仕上がりに影響するため、劣化しているとローラーの毛が抜けたり、毛羽立ちが原因で気泡が入ってしまう場合があります。
ローラーの種類と特徴
ローラーには「羊毛ローラー」「砂骨ローラー」「特殊なローラー」の3種類あります。
■羊毛ローラー
最も使用頻度の高い種類でウールローラーとも呼ばれており、本物の羊毛や羊毛に似た繊維で作られています。
塗る場所によって長毛タイプ、短毛タイプ、中毛タイプが使い分けられ、主に粗い面や凸凹している面は長毛タイプ、平滑な面や目地部分などは短毛タイプが適しています。中毛タイプは最も一般に使用され、粗い面や平滑な面など様々な部分に適しています。
■砂骨ローラー
空洞が多く、目が粗いため大量の塗料を吸い込むことができるローラーです。そのため、一度の塗料で分厚く塗りたい時や粘度の高い塗料を使用するときなどに適しています。
■特殊なローラー
羊毛ローラーや砂骨ローラーのほかにも多孔質ローラー、パターンローラー、ヘッドカットローラーなど特殊なローラーがあります。
スプレー

スプレーとは、専用のガンで霧状の塗料を噴射するもので、主に「吹き付け工法」で使用されます。
ただし、特殊な模様を出したい場合や凹凸がある部分に塗装するのには適していますが、塗料の飛び散りや騒音が発生するため、一般住宅の塗り替えではあまり用いられません。
メリット
広い範囲を短い時間で一気に塗装でき、さらに作業跡もわかりづらいため補修などにも適しています。また、仕上げの模様も豊富なので、様々な雰囲気を作り出すことが可能です。
デメリット
塗料の飛び散りが多いためロスが多く、広い範囲に養生が必要です。さらにスプレーガンの年式によっては音が大きくなるので、周囲に迷惑がかかってしまう場合もあります。
職人の技術力によってはムラができたり、凹部に塗料を行き渡らず均一に塗装できないといったデメリットも挙げられます。
スプレーの種類と特徴
スプレーには主に「エアスプレー」と「エアレススプレー」の2種類あります。
■エアスプレー
空気を圧縮して塗料と一緒に噴射するスプレーです。大量の塗料を噴射するので周囲への飛び散りも多くなってしまいます。
■エアレススプレー
空気を使わずに、塗料だけを圧縮して噴射するするスプレーです。エアスプレーと比べて飛び散りが少なく済み、塗料を無駄にすることを防げます。
まとめ
塗料を塗る際に使用する道具は「刷毛」「ローラー」「スプレー」の3種類で、現在一般的に使われているのはローラーになります。それぞれ適した場所や注意点などが異なり、用途によって使い分けることが重要です。
道具によって仕上りや周囲への影響なども変わってくるため、どのような方法で塗装するのかを確認して、気になる点は事前に業者と相談しておくと安心です。
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