サイディングやサッシの繋ぎ目を補修するコーキング(シーリング)の補修費用
サイディングの目地やサッシ周りに充填されているゴム状の部分をコーキングと言います。コーキングも塗料と同じく、ヒビ割れや剥がれなどの劣化症状が現れるため、定期的なメンテナンスが必要です。
このページでは、サイディングやサッシの繋ぎ目のコーキングを補修する方法や、補修にかかる費用などについて紹介いたします。
コーキングとは

コーキングとは、建物に生じる建材同士の隙間を埋めるゴム状の材料です。主にサイディングの目地やサッシ周りに施されています。
コーキングは建物の隙間を埋めて、建物内部に雨水が浸入するのを防ぐことができるため、防水性を高める目的もあります。
さらに、車の振動や地震などによって建物が揺れた時に、建材と建材の間にあるコーキングがクッションの役割を果たし、建材同士がぶつかり合って傷つくのを防ぐこともできます。
コーキングとシーリングの違い
あらかじめ形が決まっているものをシーリング、専用のガンで押し出して施工するものをコーキングと言われる場合もありますが、一般的に「コーキング」と「シーリング」は同じ意味で使われています。そのため、コーキングとシーリングは、同じものだと思っていただいて問題ありません。
また、「シーリング工事」と「コーキング工事」も言い方は違いますが、基本的に同じ工事内容になります。
カートリッジと2液タイプがある
コーキング材には、1液タイプのカートリッジと2液タイプの2種類あります。
1液タイプのカートリッジは、硬化剤を混ぜる必要がなく、空気中の水分や酸素などによって自然に硬化するコーキング材です。施工範囲が狭い場合やDIYで使用されることが多く、ホームセンターでも購入することができます。
2液タイプは、硬化剤を混ぜた時に起こる化学反応によって硬化するコーキング材です。専用の撹拌機やガンが必要で、ビルやマンションなどの大規模な工事の際に用いられます。扱いやすい1液タイプのカートリッジと比べ、2液タイプは専用の機械や知識が必要となります。
コーキングの種類
コーキングの種類は、主に以下の5種類あります。
ポリウレタン系
ポリウレタン系は、一般住宅のサイディングやALCに使用されることが多い種類です。耐久性や弾力性に優れています。
変成シリコン系
変成シリコン系は、外装だけではなく、水回りや内装などにも使用できるコーキングです。コーキングの上に塗装ができる特徴があるため、外壁塗装では一般的によく使用されている種類になります。
ウレタン系
ウレタン系は密着性や弾力性に優れており、サイディングの目地やコンクリートのヒビ割れ補修などに用いられます。
ただ、ウレタン系は紫外線に弱く、ホコリが付きやすい特徴があるため、充填した後は塗装をしてコーキングを保護する必要があります。
アクリル系
アクリル系は水性タイプなので扱いやすく、他の種類に比べて価格も安い特徴があります。ただし、耐久性が低いため、リフォーム工事ではほとんど使用されません。主に新築時の内装や目地に使われます。
シリコン系
シリコン系は耐久性、耐候性、耐水性、耐熱性が高いため、主にキッチンや浴槽などの水回りに使用されます。
しかし、シリコン系のコーキングは水を弾く性質があるので、塗装をしてもすぐに剥がれてしまいます。そのため、外壁塗装にはあまり使われません。
コーキングの劣化症状
コーキングの劣化症状は、次の通りです。
シワやヒビ割れ
シワやヒビ割れは、紫外線や雨風などの影響でコーキング自体の弾力性が失われることにより、振動や温度変化に対応できずに亀裂が入ってしまう現象です。
放置していると、ヒビ割れしている部分から内部へ雨水が入り込み、雨漏りに繋がります。
肉痩せ
肉痩せとは、コーキングに含まれている可塑剤が表面に溶けだして、コーキングの厚みがなくなっていく現象です。可塑剤は、コーキングに柔軟性を持たせる役割があります。
肉痩せが進行すると、隙間から雨水が浸入するため、結果として雨漏りに繋がります。
ブリード現象
ブリード現象とは、表面に溶けだした可塑剤が塗料や汚れと反応して、変色や黒ずみを発生させてしまう現象です。ブリード現象が起きているコーキングは、触るとベタベタして柔らかい感触になります。
コーキングを施工するタイミングと工法
先打ちと後打ち
塗装をする前にコーキングを充填するのを「先打ち」、塗装をした後にコーキングを充填するのを「後打ち」と言います。
先打ちの場合、コーキングの上に塗装をするため、塗膜で紫外線や雨風などからコーキングを守ることができます。
しかし、弾力性のあるコーキングの上に塗装をすると、弾力性の無い塗膜はコーキングの動きに追随できず、ヒビ割れを起こしてしまいます。この場合、塗膜がヒビ割れているだけなのでコーキングに問題はありませんが、美観が損なわれるデメリットがあります。
後打ちの場合、先打ちと違ってコーキングの上に塗装することは無いので、塗膜がヒビ割れするという心配はありません。
ただし、塗膜でコーキングを守ることができないため、先打ちよりも紫外線や雨風などの影響を受けやすく、劣化するスピードが早くなってしまいます。
打ち替えと打ち増し
既存のコーキングを全て撤去してから、新しいコーキングを充填する方法を「打ち替え」、既存のコーキングを撤去せずに、そのまま上から新しいコーキングを充填する方法を「打ち増し」と言います。
打ち替えの方が全てのコーキングを新しくするので防水性や耐久性は高くなりますが、その分コーキングを撤去する時間や費用がかかります。また、打ち増しは既存のコーキングの劣化が少ない場合のみしかできません。
どちらの方法を採用するかは、劣化状況や業者の判断によって変わってきます。
コーキングの補修方法
サイディングのコーキング

サイディングにコーキングを補修する場合、外壁・屋根塗装と同じタイミングで行うことが一般的です。コーキング補修は高所での作業も多く、足場の設置が必要となるので、外壁・屋根塗装と一緒に行うことで足場代を抑えることができます。
また、コーキングの耐用年数は10年程度で、外壁・屋根塗装を行う頃には既にコーキングも劣化していることが考えられるため、打ち替えで施工するのがほとんどです。
サッシのコーキング

サッシ周りは雨漏りが起こりやすいため、特に注意が必要です。
サッシ周りのコーキングは、サイディングのコーキングに比べて劣化が少ないので、補修する際は打ち増しで行うのが一般的です。また、打ち替えを行うと、サッシの内側に施されている防水シートを傷つけてしまう恐れがあります。
作業工程
作業工程は、主に次のような流れになります。
1.カッター等を使い、既存のコーキングを全て撤去する(打ち替えのみ)
2.既存のコーキングや汚れなどが残らないように、丁寧に清掃する(打ち替えのみ)
3.外壁が汚れないように、コーキングを充填する両端にマスキングテープを貼る
4.接着剤の役割を果たす、プライマーと呼ばれる下塗り材を塗布する
5.専用のガンでコーキングを充填して、ヘラを使って平らにする
6.マスキングテープを剥がして、乾燥させる
コーキングの施工単価
コーキングの施工単価は、打ち替えが㎡あたり700~1,200円程度、打ち増しが500~900円程度が相場です。
一般的な2階建ての戸建てのコーキングを補修する場合は、打ち替えが18~25万円程度、打ち増しは10~18万円程度となります。
まとめ
コーキングは、建材同士が傷つかないようにクッションの役割を果たし、さらに雨水が浸入するのを防ぐ目的もあります。また、コーキングの耐用年数は10年程度なので、外壁・屋根塗装をする際にあわせて補修するのがオススメです。
コーキングの劣化が進むと、雨漏りに繋がる可能性が高くなるので、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
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